「あ、あなたは・・・祐一さんのっ・・・」 「あ・・・倉田佐祐理さん」 「あははっ、フルネームでご存じなんて、 佐祐理ってば、すっかり有名になっちゃってるんですね。 舞よりもなのかなっ」 自分のことを名前で呼ぶ人だった。 倉田さんは苦笑いした後、つぶやくように言って微笑んだ。 **************************************************************** 互々の思い **************************************************************** 「こんなとこで、何をしてらっしゃったんですかっ?」 「私は、祐一を迎えに・・・。倉田さんこそここで何を?」 「佐祐理は、ここで祐一さんを待っていたんです」 「・・・っ!」 「でも、今日は来られないようなので、一緒に帰りましょうっ」 「えっ、でも私は・・・」 「お願いしますっ」 どうやら私と話をしたいようだった。 「わかりました、私は、構いませんけど・・・」 「ありがとうございますっ」 夕焼け色に染まる雪を、普段会わない二人で踏みしめて 私たちは商店街へと向かった。 ------------------------------------------------------------- 『どうしてまた剣道なんて始めたの?』 昨日の夜、祐一にそう訊いた私は、内心嬉しかった。 前に、部活をやることを勧めたけど、 まさか祐一がやりだすとは思っていなかったから。 『お前を守らなくちゃいけないんだ』 竹刀を磨きながら冗談口調で言う祐一に私は言った。 『じゃぁ、明日お母さんのジャムの日だから、守ってね』 がくっ! 『おっと、明日は昼からバイトだったんだー仕事に備えて寝ておかないと!』 『祐一、バイトなんかしてない・・・それに、学校遅刻するよ?』 『・・・あ、秋子さんのジャムを防げるなら、遅刻の一つなど安いものだ』 『ダメだよ、私が祐一と学校へ登校できないから』 『・・・』 『祐一、一緒に行ってくれるよね?』 『食せばならぬ運命にあるのか俺は・・・』 『がんばってね』 そして今朝祐一は、お母さんを悲しませまいと泣きながら笑顔で苦しそうに2枚のトーストを平げた。 さすがに、ちょっと悪いことしたかもと思った。 授業後、祐一は部活があるからと言って、嬉しそうに教室を出て行った。 私は、祐一のやる気が出て嬉しかったけど、なんとなくちょっと寂しかった。 私も部活をやって、終わってから校門まで祐一を迎えに行くと、 そこにはもう人影があった。 「あ、ゆうっ・・・?」 -------------------------------------------------------------- 「お名前は、確か水瀬名雪さん、でしたっけ・・・?」 「え?あ、はい・・・」 「いつも、祐一さんにはお世話になってます」 「あ、いえっ、そんな・・・」 と言われても祐一は最近の素行を話してくれないからわかんない。 「どうかしたんですかっ?」 「え?いやなんでも・・・」 こんなきれいで魅力的な人が祐一と知り合いだなんて・・・ 今もってよくわからなかった。 「あ、大丈夫ですよ、佐祐理は祐一さんとそんなじゃないのでっ」 こちらの想像、考え見透かされたかのように笑顔で言われた。 「ええっ?そ、そんなこと思ってませんよっ」 「水瀬さんは、本当に祐一さんがお好きなんですねっ」 「えええっ」 「顔にそう描いてありますよっ」 「・・・」 黙ってしまった。 「じゃぁ、倉田さんはどうなんですか?」 「佐祐理も、祐一さんのことは大好きですよ」 「!!」 「でも、水瀬さんが思っているような気持とはどこか少し違うんです。 兄弟、親友、そう、水瀬さんと祐一さんの血の繋がりのような気持です」 「家族・・・?」 「そうですね、温かい家族、そんなものです。  佐祐理は、弟を亡くしてしまっているんです。  それからの佐祐理の明るさは偽りなんですよ、きっと。  うそじゃないけど、ホントでもない。  ホントの時もあるけど、心許した人以外にはきっと嘘になってしまう。  でも祐一さんは本当にやさしい人ですから、心から笑顔でいられます。  弟も私の心の中で、がんばれっ、応援してくれてるような気がするんです」 -------------------------------------------------------------------- 一方その頃祐一たち・・・ 「・・・今日はここまで・・・祐一、大した出来」 「へっ・・・先生からお褒め頂くなんて、今日は雪でも降るかね・・・」 「北の町だから、降る」 「そっかよ・・・」 「着替えてくる。また後で・・・」 「ああ・・・」 着替えて出てきたおれは思った。 「あ、名雪とも待ち合わせてるんだっけ・・・まずいな・・・ 名雪と舞は何となくあんまり会わせたくない組み合わせだな・・・ っていうか名雪が待ってくれてるってことは、舞を待つ佐祐理さんまでいるのか? ああ、やばい、カオスに・・・あれ?」 「・・・祐一遅い」 校門に行くとそこに居たのは先に着替えて出てきていた舞だけだった。 「あれ?お前一人か?他に誰かいなかったか?あと佐祐理さんも」 「知らない・・・多分、佐祐理も先に帰ったんだと思う」 「あの佐祐理さんが?」 人一倍気の利く佐祐理さんが断りなく勝手に帰るとは思わなかったが、 舞は気にしてないようだったし、おれも腹が立つわけじゃないから別に良かったけど なんとなく気になった。 「祐一、行こう」 「あ、ああ」 「しっかし、お前と商店街を歩くことになるなんて思わなかったぞ」 「なに、嫌なの?」 「お前はどうなんだ?」 ・・・びしっ! 「あだっ!」 無言で顔面チョップが飛んできた。 舞の顔を覗き込むと、夕焼けのせいか、少し赤く染まっているように見えた 「別に、悪くない」 「ああ、わかるさ、顔に書いてあるもんな」 びしっ! 「あだっ」 「お、ここの百花屋美味いんだぜ、いとこがよく行く店でさ・・・」 と舞に説明しながら店内の様子が垣間見えた。名雪と佐祐理さん・・・? こんなところで何をしているんだろう? からんからん 「いらっしゃいませー2名様ですね、こちらへどうぞー」 「あ、いや、席は・・・」 そういって名雪が居る隣の席をくっつけた。 「あ、祐一っ?」 「舞っ」 「佐祐理・・・」 「まぁとにかく座ろうぜ」 「コーヒー」 「じゃぁ私もコーヒー・・・」 「祐一、疲れたんだからイチゴサンデー食べればいいのに」 「こんな時間にあんなもん食ったら秋子さんの料理が腹に入らないだろ」 「でも、少し食べるといいよ」 「少しだけ出てこないの。っていうかお前が食べたいだけだろ」 「あ、ばれた?」 「お前のおごりだっていうんなら、少し食べてやらないでもないがな」 「ほんと?すいませーん!」 「うわ、冗談だ!って食べてもいいけど、お前飯食えなくなるだろ」 「大丈夫だよ、別腹だから。すいませーん」 「そんなこと言って前残してたろ」 「あははーっ」 「・・・」 「まぁ、4人で食べればなんとか・・・なるわけないだろ!」 3600円のスーパーウルトラミラクルビッグラージイチゴサンデーデラックスが、 一つの塔のような形をしてでてきた・・・ 「うわぁ・・・すごく・・・おっきぃ・・・です・・・」 「お前、おごりとか言ってたけど結局一人で払えないの知ってたな」 4人で払っても一人900円。今夜の飯くらいになるだろう。 「すみません、佐祐理さん・・・」 「あははっ、いいですよーっ、舞も一度食べたがっていたみたいです」 「・・・」 舞は無言で頷いた。 「絶対秋子さんの料理食えないぞ・・・パス」 「だめだよ、食べてもいいって言ってたし」 「前言撤回する」 「うそつきー」 「だってこんなの聞いてないぞ。食えるわけないだろ。軽く詐欺だぞこれ」 「やってみないとわからないよ、いただきまーす!」 「名雪よ、予測力というものは必要だぞ・・・」 平らげてしまった。名雪は満足そうだったが、 佐祐理さんと舞は苦しげだった。 「ほら、できたじゃない、みんなで努力すればできないことないよ」 「そうだな・・・」 だがおれは悔しかったので言い返した。 「帰って体重台乗ってみろよ、太ってるぞ」 胃に入った分の重さを合わせて量らせてやる。 「大丈夫だよ、明日には痩せてるから」 うっ。明日には消化できているということか。 こいつの体質は、周りから見れば羨ましいだろうな・・・ って前の二人も同じか。苦しそうだけど。 「さて、佐祐理たちはお先にお暇いたしますねっ」 「了解。ごめんな佐祐理さん、付き合わせちゃって」 「いえいえ、楽しかったですよっ」 「私は・・・?」 舞がいう。 「お前もな」 「水瀬さん、がんばってくださいねっ」 「え・・・」 「?」 「それでは、また明日ーっ」 からんからん 「名雪、さっきの、どういう意味なんだ?  佐祐理さんとどんな話してたんだ?」 「べ、別に祐一には、関係ないよっ」 なら尚更話せ。 「うっ、苦しいな・・・やっぱりやめておけばよかった」 今朝今合わせてこれほど後悔したことはない。 なんとも学習能力のない自分を呪った。 「大丈夫だよ、もうすぐ家だから」 いや、そのこれからが難所なんだが。 「今日はたくさん作っちゃったから、たくさん召し上がれ」 なんでこんな時にこんなに多いんですか秋子さーーーん!!! 「よ、よぉ真琴。お前腹減ってそうだな、おれのやるよ」 「なに突然気持ち悪いー。自分の食いなさいよ」 「普段人のとってるお前が何を言う」 「何よ、それ毒でも入ってるんじゃないのー?」 「秋子さんに失礼だぞ」 「あ・・・」 「何、真琴、もういっぺん言ってごらんなさい・・・?」 「あうぅーーーーー!」 風呂もさっぱりしたところで、なんとなく風に当たりたいと思いベランダに出てみた。 雪が降っていた。明日も寒そうだ。早く寝ようと思ったところでベランダの下を見ると 誰かがこちらを見ている。栞が手を振っていた。 俺は着替えた。 「あれ?祐一、どこいくの?」 「栞が下に来てた」 「栞ちゃん?香里の妹さんの?」 「ああ」 「それで、どこ行くの?」 「わからん、散歩だろ。秋子さんによろしくな」 それだけ答えて家を出た。 「まさかこんな時間に栞を見るとは思わなかった。  学校から見下げたときと同じだ」 「私は、偶然ここを通りかかっただけですよ」 「それで、偶然ここに通りすがって何をしたかったんだ?」 「私は、祐一さんに会いに来たんです」 苦笑するしかなかった。 「それで、何したいんだ?」 「祐一さん、散歩しましょう」 「おれ、風呂あがりなんだけど」 「大丈夫ですよ」 根拠はなかった。 「祐一さんならきっと大丈夫ですよ、私が保証します」 「風邪ひいたら看病してくれな」 「はい」 「こんな時間に歩いて、体の方は大丈夫なのか?」 「大丈夫ですよ、祐一さんが守ってくれます」 いや、おれがいないときはどうする。 って言うか意味が違う。 「祐一さん、私、元気になれました。  祐一さんが居なかった今頃私、ここに居なかったかもしれません」 「・・・ありがとな。でも今、栞がここに居るのは  栞自身の意思だよ。おれは関係ないさ」 そう言いつつも、おれは自分と栞がこの世に存在していると言うことを実感していた。 栞を存在させたとされる理由の一部になれたのだから、 おれはこの世に居た価値があったのだと思う。 「そんなことないですよっ、祐一さんは私にとって大切な存在で・・・はっ」 そういうと栞は一気にうなじまで赤くした。 「な、なんでもないです・・・」 聞こえてますから。 「はいはい、風邪引くからそろそろ帰ろうな」 「子供扱いしないで下さいっ」 「いや、おれが寒いんだ」 正直、そろそろ風呂上りが響いてきた。 本当に風邪を引かねない。 「あ、すみません・・・わがまま言って」 「いいよ、これもおれの意思だ」 「祐一さんはいつも優しいですね・・・」 「それでは、この辺りで」 「一人で大丈夫か?」 「はい、大丈夫です」 辺りは真っ暗でおれの知らない道だったが、 栞には歩きなれてる場所なのだろう。 「それでは、また今度」 「ああ、おやすみ」 「ただいまー」 「あ、おかえりなさい、早かったね」 「風呂上りだしあんまり外で長居するわけにも行かなかったからな」 「早く寝るといいよ」 「そうだな・・・ってお前は寝ないのかよ」 「ううん、これから寝るよ」 「先に寝てれば良かったのに」 「私はそんな浅はかじゃないよ」 「へいへい、おれはどうせ浅はかですよ、だ」 そういって名雪の傍を通り過ぎて階段を上がると、名雪は苦笑していたようだった。 「祐一」 「ん?」 「夜は、おやすみなさい だよっ」 「ああ・・・おやすみ、また明日」 「おやすみなさい〜・・・」 : : 雪が降っていた。 とめどなく降る白き光の星がこの町を覆い尽くす時、 奇跡は起こる。 祐一くん――― そんな声が聞こえた気がする あゆ、おれは今幸せだよ。 お前は、おれに出会えて幸せだっただろうか・・・? 7年も待って、夢の中で再会したお前は、本当の笑顔で居れたか? 答えのない考えに、おれは苛(さいな)んでいた。 夜は白き雪に覆われて・・・ 晴れた星空に照らされて、町は輝いていた。 そんな寒い街でも、おれはこの町を再び好きになっていた。 変わらぬ日常で、いつものように、俺はまた・・・ 『朝〜、朝だよ〜』 温かい朝を迎える。 ========================================================================== だぁゲームのシナリオを書こうとして一文字も思い浮かばなかったので、 てすととしてKanonで考えたらどうなんだろう?と思って名雪さんから始めてみたら なんとそのまま一日が終わるまですらすら出てきてしまって、 せっかくだから更新ネタにしようという魂胆から生まれた小説です(長っ) なので特に考えたわけじゃないですから流れはぐちゃぐちゃだし、 クオリティも怪しいですがある程度の日常は書けてると思います なんですらすら書けたんだろう・・・内容の良し悪しは別として。 おそらく、自分の中での彼女らのキャラ付けがしっかりしているのだと思う どのキャラがどのキャラにあった時こういう反応をするだろう って自分の中で決まっているものがあるからだ それは知っているのではなく、元を知ってから自分の中で作られたもの キャラの人格を把握すると言うことは大事なんだな 名雪エンド後で、他キャラとも交友があるが あゆのみ居ない、と言う状況です Kanonは名雪とあゆを両方グッドエンドにすることができない・・・ アニメとかそうですね って言うか元からの設定が設定なので どうしようもないですが・・・より取り見取りより、 この究極の選択こそが、感動の一部なのかもしれません とまたどうでも良いことで長くなってしまいました また気が向いたら何か書くかもw それではーっ writting is 2007.9